人は誰でも生活の中で沢山の物を買っていると思います。安かろう悪かろうという時代は終わりました。もちろん安くて品質の悪い商品もありますが、必ずしも安い=悪いではないという事です。
そうすると安くて品質が良い物を買うことが一番合理的な買い物の仕方と言えますが、多くの人はそうはしません。それはいったいなぜなのか。
今回のテーマは『購買行動×心理学』です。
どうして人はその物を買うのかという事を心理学に当てはめて解説していきます。
本記事はこのような人向けの内容となっています。
- 人が買う心理を知りたい
- どうして人は合理的な買い物をしないのか知りたい
人の心理をうまく使って企業は物を売っています。そうするとついつい余計な物まで買ってしまう事も出てくるでしょう。そうならないためにも心理を知っておくのは有効かもしれません。
合理的な買い物とは
「合理的」とは目的に合致していて無駄が少ないといった意味合いがあります。財布を例に合理的な買い物について考えていきましょう。
財布の役割は「お金を入れる」「カードを入れる」がメインです。高い財布も、安い財布も役割は変わりません。そうすると安くて長く使える財布が最も合理的な買い物と言えるでしょう。
ですがデザインや心理的要因、価値観によって購入する判断基準は大きく変わります。そのため人は合理的な買い物を必ずしもするという訳ではないのです。
物を買う心理的トリガー 5選
①禁止『カリギュラ効果×バーナム効果』
開けるなと言われた浦島太郎も玉手箱を開けますし、鶴を助けたおじいさん、おばあさんも覗くなと言われても覗いてしまいます。
これは『カリギュラ効果』と呼ばれるもので禁止された事、制限された事に対して逆にやりたくなってしまうという心理が働いてしまうのです。
人は行動を禁止されたり、制限されるとストレスになる為嫌います。禁止、制限されるとそのストレスの反動として行動してしまうと言われている。
モノを売る際には「カリギュラ効果」だけではなく『バーナム効果』と組み合わせた方法が一般的に使われています。
「バーナム効果」とは誰にでも当てはまる事をあたかも自分が強く当てはまっていると思い込むことです。占いや性格診断などでよく使われています。例えば「A型のあなたは今年困難が待ち受けていますが乗り越えられるでしょう」と言われたとします。ですが困難は誰にでもありますし、大抵のことは何とかなってしまいます。それなのにA型の自分が強く当てはまっていると思い込んでしまいます。
先ほど説明した「カリギュラ効果」と「バーナム効果」を利用してモノを販売する際の広告例として「睡眠不足を感じる人以外、この枕を買わないでください」と言ったようなフレーズを見たことがないでしょうか。
日本は先進国の中でも寝不足大国とされています。そのため寝不足に当てはまる人が多くいますがあたかも自分の事であるかのように思います。(カリギュラ効果)そして買わないでください。と行動を禁止されることで買いたくなるといった逆の心理が働くのです。(バーナム効果)
②大衆性『バンドワゴン効果』
あの人が持っているから、みんな持っているからそのような理由でモノが欲しいと思ったことは誰もがあると思います。これは『バンドワゴン効果』と呼ばれるもので、大多数派の意見に乗ってしまいやすいというものです。同調圧力が強い日本人は特にみられるかもしれません。
他の人が持っている事と自分も買うという事は本来何の関係もありません。自分が欲しいと思う物だけを買うことが最善ですがなかなかそうはできないものです。
あなたが40代だとして「40代の3人に1人は加入しています」と保険を勧められた場合にどう思うでしょう。皆入っているしもしもの為に自分も加入するべきなのではないかと思ってしまう人も少なくないでしょう。
しかし本当にその商品が必要なのかは人によって違いますし、その商品が適正であるとも言えません。多くの人が買っている商品でももっと良いモノがあるかもしれません。
③希少性『スノッブ効果』
みんなとは違うレアなモノを持ちたいというように考える人もいます。先ほど紹介したバンドワゴン効果とは逆ですね。このことを『スノッブ効果』と言います。期間限定品や数量限定など限られた人しか買えない商品が欲しくなるという訳です。
このスノッブ効果を利用した販売方法が最近多いように感じます。例としてナイキなどのスニーカー販売がそれに当たるでしょう。抽選の数量限定で販売することで商品に希少性を持たせます。希少性のあるスニーカーが欲しい人やコレクターなど購入する人は数多くいます。
しかし、これらの商品は金のようにその物自体に限りがあるという理由で価値があるわけではありません。希少性はあくまでも企業が流通量を制限して作り出したものです。増産され一般販売されることがあれば希少性は一気になくなります。
④第3者情報 『ウィンザー効果』
物を買う際にレビューを見て買う事はありませんか。
『ウィンザー効果』とは情報を直接得るよりも、第三者を介して間接的に情報を得た方が信頼性が増す事を言います。
恋愛にも効果的で好きな人にアピールする時に直接「あなたのことが好きです」と伝えられるより、友人を介して「Aさんがあなたの事を好きだと言っていたよ」と情報が入ってくる方が効果的です。
物の販売に際してにウィンザー効果を活用したものが「口コミ」です。ネット通販で物を買う際には見る人も多いのではないでしょうか。
販売者が「この商品は素晴らしいです」と言うよりも購入した人が「この商品は素晴らしいです」と言っている方が説得力があるのではないでしょうか。
インターネット通販で物を購入する際に注意したいのは「サクラ」です。サクラとは出品者に依頼されて意図的に商品の評価を高くすることで購入を促すことです。不自然に評価が高い物や商品説明の日本語が正しくない物は購入しない方が良いかもしれません。仮に購入するとしてもしっかりとレビューを見ることが大事になってきます。
⑤高価 『ヴェブレン効果』
高ければ高いほど良い物であるというように考えて買う人がいます。商品が高くなるほど需要も大きくなることを『ヴェブレン効果』と言います。この特性がある商品の事を『ヴェブレン財』と言い、ラグジュアリーブランドや高級車などが該当します。
このヴェブレン財を買う事を「顕示欲消費」や「見せびらかし消費」とも呼ばれており、高額な品を持っている事を他の人に自慢したいという自己顕示欲が根底にあります。
InstagramなどのSNSで写真をアップでき自己顕示欲を満たすための環境は整っていると言えます。そのためこれからもヴェブレン財の需要はこれからもあると言えます。
まとめ
今回は購買行動にかかわる心理的トリガーについて解説しました。合理的な買い物こそが正しいとは思いませんが、紹介した心理に従って購入しても満足はできないと思います。なぜなら本当に自分が欲しいものではない事が多いからです。
自分が欲しい物ではなく、欲しいという事に他人が大きく影響しているからです。
人の物欲は自分で管理しないと上限がなく欲しいモノが次から次へと出てくるでしょう。そうならないためにもある程度の上限を設けてモノを買ってみてはいかがでしょうか。
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